After The Quake

秋の映活、要鑑賞映画がツマってきてるんですが、時間の都合で、今日は封切られたての、アフター・ザ・クエイクでした。
村上春樹の4作品を有機的に繋げてあるのだが、村上作品の雰囲気を壊すことなく、イメージどおりに仕上げられていて、ハルキストの私も、満足でした。
ただ、わかってたのに、心構えもなく行って、開始はいきなり、第一話、阪神大震災のニュース映像から始まった。私は大きな被害にあってはないが、いろいろ壊れたり失ったりした記憶が、思い出したくない記憶が、瞬時に大量にフラッシュバックした。そこからは、ずっと気持ちがざらざらしたまま、2時間超の長丁場じっと見入っていた。
私は、普段、ほとんど洋画を見る。それは、映画を観る時間が現実と、より切り離されるからかもしれない。日本語で語られる日本の景色の物語、それも、熟読している村上ワールド、気持ちが入り込みすぎて、どの話も客観視できない。自分の物語に感じるのだ。村上春樹の小説を読んでいるときのように。
そういう意味では、この作品は、村上ワールドを描くことに成功していると思う。
少しネタバレになるが、第三話カルト的な宗教団体の教祖との対話のシーンが印象的だった。信仰について語る形をとって交わされる、生きることについての隔世代間でのやりとりには、村上作品に共通する、言葉では表せない「伝えたいこと」が、よく込められていたと思う。「それでも生きていく、生きねばならない」人間の苦悩と救い、不器用さ、若さゆえの迷い、行き場のない想い、希望、不安。
他の話でも、そういうところをあげればキリがなく、映画館を出るころには、心の傷跡を発見してまた痛い、みたいになっていた。
大友良英さんの音楽もよかった。いい映画だったけど、ちょっとヤラレタ。
原作、も一度読んでみよう。先に述べたが、風景や小物、色合いが、村上作品の味わいをよく出していたと思う。かえるくんの声は、ちょっとイメージ違ったかな、一番話題になってたけど、そこだけ私は減点。
阪神大震災経験者、被災した人はもちろん、私のように、震災の隣りで、もどかしさ、後ろめたさ、罪悪感を感じていた方は、わかって見に行った方がいいです。
時間が許せば、もっかい観たい
(行くんかい、、、)
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